それでも、まだ。



『ホント、ジルは刀に目がないし、セシアは甘いものが大好きだなぁ〜。』


レンは両腕を頭の後ろに組んで楽しそうに言った。


『『…………。』』



『ま、さっきの話は本当だからさ。機嫌直しなよ。』



そう言うレンだが、全く悪びれる様子もない。


むしろセシアとジルの反応を確実に楽しんでいた。




…いつもレンに振り回される自分たちも自分たちだが。




『…まったく、いつもいつも。』


ジルはため息をしつつレンを見た。



『そう言いながら最新の刀にすごい興味津々なくせに〜。』



『なっ!そ、そそれは最新の刀がどんなものかを調べるためだ。だ、断じて興味本位ではない……はずだ……!』



『…なんか自分に言い聞かせてない?』




――ピリリリリッ




『レンさん、無線が鳴ってます。』


『あ、本当だ。どうせアヴィルさんでしょ。まったく、せっかちだなぁ。』



アヴィルとは、組織の副ボスだ。レンとジルが小さい頃からの仲らしい。


いつも任務の後は、アヴィルに連絡するようになっている。



ぶつぶつ言いながら、レンは無線をとって、自分たちから離れていった。



…レンさんが、マイペース過ぎると思うんだが。



―――ゾクッ



『………!?』



そのとき、背筋に何かを感じた。

慌てて振り返って刀の柄に手を添えて構えるが、何もいない。


『………?』



『…セシア、どうした?』



前にいたジルが聞いてきた。



『い、いや…、なんでもないです。』



殺気なら自分よりも早く、鋭い2人の上司の方が気づくはずだ。



気のせいか……?