それでも、まだ。




―――――


『……酷いな…。』



レンは手の甲で口を押さえながら呟いた。




屋敷を出てから3人はすぐに村を出て、肌寒い地上へと戻ってきた。


そして砂漠をそのまま抜け、足早に話に聞いた村を訪れたのだが。



『…何もかも失くなってしまったんやな…。』



シキも眉間に皺を寄せて苦々しく息を吐いた。



『………。』



セシアは何も言えず、ただ目の前に広がる光景を唖然として見つめた。




――目の前に広がるのは、もはや村とは言えない状態になった無惨な跡。



セシアはこの村を訪れたことがない…いや、覚えていないと言った方が正しいのだろうか。


そのため元々どのような村だったのかは分からないが、辺りに広がる燃え跡からとても大きい村であっただろうことは分かった。



未だに至る所で黒い煙が上がっており、異臭が辺り一帯に立ち込めている。




『…とりあえず調べてみようか。シキ、セシア、一応マスクしておいてね。』



レンの言葉をきっかけに、3人は村の中へと足を踏み入れ、各々手分けして村の状態を調べ始めた。




セシアが2人と離れて自分の能力で煙や異臭を吹き払いつつ奥に進んで行くと、遠くにまだ燃えきっていない小さな建物が見えた。



セシアが迷わずそこへ走っていくと、建物はかろうじて建っているといった感じであり、ちょっとした刺激があればすぐに倒れてしまいそうである。



『…しょうがないか。』



セシアは一人呟くと、刀を抜き、軽く振って風を起こし、建物に向けて放った。



すると建物は予想通り呆気なく崩れ、セシアの足元には大量の瓦礫が散らばった。



セシアはその瓦礫を掻き分け、何か手がかりが残っていないか探り始めた。




『………ん?』




暫く作業を続けていると、ガサリと音を立て、茶色い封筒が出てきた。



『なんだこれ…?』



その封筒を手に取り、埃を払ってよく見てみた。…どうやら何処も燃えたりしていないようである。


『何か入ってる…?』



ちょっとした重みを感じたセシアが中身を確認しようとして封筒を開けようとした瞬間。






『…そいつはちょいと待ってもらえるか?』



『―!』



セシアの背後には、黒いマントに身を包んだ男が側に建っていた柱にもたれ掛かってセシアの方を見ていた。