それでも、まだ。





『あぁ、よくおいでくださいました。』



3人が老婆に連れられて村の奥のとある屋敷に入ると、そこは蝋燭の灯のみで燈された薄暗い座敷であり、年老いた老人――もとい村長が3人を出迎えた。



老婆は3人を送り届けると、丁寧に頭を下げ、静かに出ていった。



『こんにちは、村長。…早速だけど、隣の村が滅びたっていうのは?』



3人が刀を横に置いて座り、レンが神妙な顔つきで尋ねると、村長は苦々しい表情を浮かべ、静かに話し出した。




『…一昨日のことです。隣の村がいきなり火の海になったのです。原因も分からないまま、村は跡形も失くなりました。ですが…。』



村長は正座をしたまま、言いにくそうに顔を伏せた。膝の上で握りしめている拳は小刻みに震えている。



『…なんや、どないなったんや?』



シキが思わず身を乗り出すと、村長は思いつめたように顔を上げた。




『…村人が、消えたのです…!』



そう切羽詰まった声を上げ、頭を抱えて本格的に震え出した村長に、セシアは慌てて側に寄り、背中を撫でた。



『落ち着いて下さい、村長さん。大丈夫ですから…!』



セシアが暫くそうしていると、村長は唸りながらも段々と落ち着いていき、セシアの方を見た。



『すみません、取り乱してしまいまして…。…あぁ、セシアさん、大きくなられたのですね…。』




『…え?』




懐かしむように見つめられ、セシアが戸惑いを表していると、レンが咳ばらいをして、口を挟んだ。




『…村長、そろそろ聞かせて貰ってもいい?村人が消えたってどういうこと?』



レンの言葉に村長は、そうでした、と呟き、幾分冷静な様子で座り直した。セシアもその場に座った。




『…そのままの意味でございます。普通、村が火の海になれば、誰かが火を消そうとするでしょう。…しかし、私どもが駆け付けたときは、誰もいなかった。』



『…それってもしかして火に巻き込まれたんじゃ…!?』



『私どもも、そう思いました。…しかし、火が完全に鎮火したとき、人はおろか、死体さえなかった。』



『『『え……?』』』



3人は同時に息を飲んだ。
村長は3人を一瞥すると、涙ぐみながらも話を続けた。




『日が替わっても、誰も戻っては来ませんでした。…連絡も取れない状態です。』




そこまで聞くと、レンは立ち上がり、横に置いていた刀を取り、腰に差した。



『…行くよ、シキ、セシア。』



『…せやな。行ってみな分からんな。』



『……そうですね。』



そして3人は村長の深々としたお辞儀を背中に、座敷を出ていった。