それでも、まだ。




『あー!レン兄ちゃんだ!いらっしゃーい!』


『シキ兄もいるー!』




村に入ってすぐ3人を迎えたのは幼い子供達だった。



パタパタと走り寄ってきて、嬉しそうにレンやシキに抱き着いている。



『わぁ、久しぶりだね。みんな元気にしてたかな?』



レンが子供達の頭を撫でながら言うと、嬉しそうに子供達は頷いた。


シキに至っては両腕に4人もの子供をぶら下げて一緒に遊んでいる。



セシアは何をする訳でもなく、ただぼんやりと様子を眺めていたが、暫くすると一人の少女がセシアの前に走ってきて、止まった。



『……?』



セシアが少女をまじまじと見つめると、少女はクルクルとしたくせっ毛の短い髪をいじりながら恥ずかしそうに話し出した。



『…お姉ちゃん、なまえ、何て言うの?』



『え?…あ、セシアだけど…。』



セシアが突然のことに戸惑いつつ答えると、少女はぱぁっと笑顔になった。



『セシアお姉ちゃん!よろしくね!セシアお姉ちゃんって美人だな〜。』


そう言いながらセシアに抱き着いてきた少女にセシアは大いに困惑した。


もともと、人と話すことを得意としないセシアにとって、子供にどのように接したらいいのかなど分からなかったのだ。



セシアが固まっていると、少女は抱き着いたまま顔を上げた。



『あたし、ジュリアっていうの!…セシアお姉ちゃんのさらさらな髪の毛うらやましいなぁ〜。』



そのふわりとした笑顔にクルクルとした髪がジュリアによく似合っていて、セシアは無意識に目を細めた。



『ジュリアの髪の毛も、すごく似合ってるよ?私も羨ましいな。』



セシアがぎこちなくジュリアの頭を撫でると、ジュリアは嬉しそうに笑ってセシアから離れた。



『…ありがとう!じゃあ、あたしおつかい頼まれてるから行くね!』



そしてジュリアは走っていってしまった。



セシアはジュリアが消えた方向を見ていたが、ゆっくりと老婆が近寄ってきて申し訳なさそうに声をかけた。



『…そろそろよろしゅうございますか?早く村長に会ってほしいもので。』



『あ、すいません。』



セシアは慌てて残りの2人を呼び、2人も子供達と別れてこちらへ走ってきた。



『ごめんね、お婆さん。つい、盛り上がっちゃって。』



レンが詫びると、シキもガシガシと頭を掻いて苦笑した。


遊びすぎたのだろう、表情が幾分疲れているようだ。



『それにしても…なんで俺らをわざわざ呼んだんや?…皆、元気そうに見えるけどな。』



シキが素朴な疑問を口にすると、老婆は一瞬顔を歪めたが、すぐに笑い、3人に背中を向けた。





『詳しい話は村長が致しますが……、隣の村が、滅びたのです。』




老婆の発言に、3人は目を見開き言葉を失った。