「わざわざ皆の前で言わなくても・・・」



面白がっているとしか思えない志高の姿に、那智のこめかみはぴくぴくと震えている。



「今頃は後宮中に・・・嫌。朝廷中に広まっているな」



那智は頭が痛くなってくる。




「本当に・・・面白がってもいられないんですよ?妾の元には考えたくもないくらい・・・増えるんですよ?」




何をとは言わない。それだけで志高にも分かったのだろう。




「・・・・それは済まないと思っている。だが・・・」




志高の顔も青くなる。それだけで那智には分かってしまう。志高の元には、那智の父からの嫌がらせが増えるのだろう。



「けれど約束は守れよ?」



志高の顔が王の顔になる。



「毒物には触れるな。刺客を自分で倒すな」



毒物以外にも増えている・・・。



しかし志高の気持ちが痛い程に伝わる為、那智は笑って頷く。




「仰せのままに・・・。そういえば志高様?」



今思い出したと言わんばかりに那智の声は大きくなる。その声の大きさに志高はビックリしていた。