双華姫~王の寵姫~

故郷を思う。



那智の川沿いにはそれはキレイな色とりどりの花が咲く。




その花のようだと言われた事が那智はとても嬉しかった。



那智華と呼ばれるのも恥ずかしかったが嬉しかったのだ。




「こちらに来てから…呼ばれなくなったので…」




当たり前にあった物が、後宮に来て以来当たり前ではなくなっていく。





けれど変えられる事もあるのかもしれない。




「那智華か…お前には似合う名だな」




那智という名よりしっくりくる。




「今日から那智華と呼ぶ。お前も好きにしろ。そしてここで…生きろ」



どこまでも命令する男だ。





死ぬ事は許さないという事か…



まぁ同じ忌み子同士分かり合える事も多少はあるのかもしれない。



それに捻くれ度も似ている。



「本当に…命令しかせぬ人…仕方ないから生きてあげましょう」



はぁ。とため息を吐く那智は美しい…が、言っている事は小憎たらしい。


「お前はもっとかわいげをもて」



青すじが志高の額にたっている。



「可愛げなど持っていたら、ここでは生きていけませぬよ?」



言っている事に間違いはない。可愛げなど後宮では持っていたら他の者に食われて終わりだ。




しかし…全くないのもどうかと思う。