双華姫~王の寵姫~

「そればダメです」



黒いオーラが見える。




「志高様…妾言いたい事は我慢せず言う事にしました。それが気に入らないなら好きに処分して下さりませ?」




魔性の微笑みとはこういう事を言うのだろう…はっきり物を言う者など志高の近くにはいない。



(やはりこいつは面白い)




そこで好きに結びつかないのが志高である。



「ほう。それで何だ?」





冷徹非道と思っていた微笑みが、少しだけ取っつきやすい…ような気がする。





「那智と言う呼び方は…後宮に入る前、家族以外にただ一人愛した人が呼んでくれた呼び方です…なのでできれば呼んでほしくはありません」





悪びれもせず言う那智は今まで志高が見た中で一番輝いている気がする。





「どうしても呼びたければ、那智姫か那智華とお呼び下さい」





那智姫は分かるが何故那智華なのかと思っていると、志高の心が伝わったかのように那智が答える。






「故郷で…那智の川に咲く華のようだと皆が言ってくれたのです。それを聞いた家族が、時々冗談で那智華と…」