双華姫~王の寵姫~

そう言って微かに那智は笑った。



後宮に来て以来初めて穏やかに笑えたように思う。




「ふふふ。では私くらいは志高様とお呼びしても良いでしょうか?」




他の姫達や家臣達の驚きようが目に浮かぶ。




王に弱い所を見せてしまった那智は開き直っていた。




元から落ち込んでもすぐに立ち直れる性格プラス負けん気は強いのだ。





弱肉強食!那智の座右の銘であり、常に頭にあるもの。



ちなみに有栖川家家訓は「目には目を…歯には歯を…敵意には敵意を…」である。



やられたまま終わる那智ではないのだ。




何かが吹っ切れる音を…那智はこの時確かに聞いた。




先程まで落ち込んでいた那智のあまりの変わりように、王は唖然としている。




名前を呼ばせるつもりでいたが、まさか那智から言い出すとは思っていなかった。



しかも吹っ切れたように笑っている。





「ぶっ…ははは…やはりお前は面白い」




那智は那智で王の変わりようにビックリする。




「好きなように呼べ。私も…」




那智と呼ぶと言おうとした時那智の声に遮られる。