双華姫~王の寵姫~

「お前も知っているだろう?私が忌み子だという事を」




嫌という程知っている。




もし王の兄君が丈夫な体を持ち即位していたら、この場所にいるのは那智ではなく柚那だったはずである。





「王。だから私はここにいるのですよ?」





あなたと同じ忌み子だから。そう言われた気がした。





忌み子…ただ先に生まれたというだけで…ただ後に生まれたというだけで…なぜこんなに違うのだろう。






二人の顔にはそう書いてある。




「だろうな。…ただ…お前の所と違い私の親は兄上だけが可愛かったようだ」




王の顔が歪む。同じ忌み子でもそこだけは違った。





那智は忌み子は呪い子と言われる中、有栖川本家で家族に愛され育つ事ができた。




生まれてすぐ殺される事もある時代である…那智の家族は本当に稀な存在だった。





「そんな親だ。私の名前は兄上のついでにつけられた。長ったらしい名前は全て兄上の為につけられたものだ」