「違う!妾は招待され、それに応じただけだぞ?」




「そうですね。いつもいつも有り得ない程の刺客と毒物を送りつけてくれる方たちからのお誘いを受けただけですわね」




チクチクチクチク…遠回しのような直球のような嫌みを美沙は繰り出す。




主君への態度としては頂けないが、美沙は美沙なりに愛する姫を守るのに必死だった。





那智もそれは痛い程感じている。




「仕方のない事なのじゃ。妾は有栖川の姫で、後者に嫁いだ以上、後宮の姫達とは仲良くするしかない。それに姫達がやったという証拠もないからな…」




美沙だって分かっているのだろう?そう聞かれれば美沙は何も言えない。




断れない事は美沙も分かっている。




しかし那智にもう少しだけ危機感を美沙は持って欲しかった。



後宮に来てからというもの、那智から生きる意志が感じられないのだ。





辛そうにしているとか、元気がないとかはなく、もういつ死んでもいい。




生きる事に執着はない。そんな風に美沙からは見えた。