那智が部屋でぼーっとしていると、見慣れない女官が部屋にやってきた。




「只今華の丸で紗里姫様、瑠璃姫様、佐由良姫様が茶会を開いております。そちらに是非那智姫様も参加してほしいとの伝言を預かって参りました」





那智はそれぞれの顔を思い浮かべる。




紗里姫様…妾への敵対心が半端ない。(めんどい)



瑠璃姫様…確か第三の位のどっかの華族の姫。声が高い。(頭がキンキンする)




佐由良姫様…第五の位の姫。苗字忘れた…確か毒物送りつけてくる女NO.1。(陰険)




ふむ。行きたくないな!




あっぱれな程の笑顔で那智は女官を見る。ビクビクと何かに怯えるように那智の様子を窺っている。





何になど簡単に想像がつく。あの我が儘姫達のことだ。那智が行かなければこの女官がひどい目にあわされるのだろう。




(行きたくはないが…仕方のないことじゃ)




「分かりました。支度をするので、すぐに美沙を呼んで下さい」



あからさまにホッとする女官に、那智は笑顔が引きつる。





女官の行動は早かった。那智の笑顔のひきつりが戻らない内に美沙を連れてきたのだ。




女官を外で待つよう下がらせると、美沙は那智への嫌がらせのごとくため息を吐く。



「わざわざ殺されに行くのですか?」




あながち間違いではないだろう。