双華姫~王の寵姫~

騒ぎの声がどんどん近付いてくる・・・そう思った時。



那智の部屋の扉が壊されそうな勢いで開いた。



壊れなかったのが・・・・不思議なくらいだ。



「那智!!!!!」




柚那は那智の部屋に入り、周りが止めるのも気にせず庭へ連れ出そうとする。




それを止めようとする侍女と従者に柚那の怒号が飛ぶ。



「どうせ見張りがつくんでしょ?だったら庭にいようが部屋にいようが一緒よ!!!文句があるの?」




当主様に言われておりますと言う言葉も、今の柚那の迫力にかき消されてしまう。




「父上には、後で私一人で叱られますわ!!いつまでも大事な妹をこんなところに閉じ込めておけるものですか!!!」



侍女たちもその言葉に黙り込んでしまう。



それはずっと皆が思っていた事だったから・・・・ずっと那智を閉じ込めておくのは・・侍女達にとっても辛かった。