部屋に連れ戻された那智には監視のように侍女たちが付いていた。




「一人になりたい」



そう言っても、侍女たちは「当主様のご命令なので・・・」と申し訳なさそうに言うだけで、那智を一人にはしてくれなかった。



「じゃぁ・・・せめて美沙だけにしてちょうだい」



何人もの侍女に見張られるように側にいられるのは・・・精神的にきつい。



それくらいなら叶うだろうと思い言ってみれば、思った通り叶えられた。



ただ・・・扉と窓の前に人は立てられたが。




「美沙・・・・どういう事なの?」




知らされているか分からないが、那智は何故こんなことになったのかを美沙に聞いてみる。




困惑したような美沙の顔には「自分もよくわからない」と書いてある。




「私も当主様から先ほど聞いたのです。ただ一言。那智を帰すな・・・と」




それだけ告げ、父は去って行ったらしい。