双華姫~王の寵姫~

「忌み王には忌み子が似合うと言うことか」




思わず口にでた言葉は思った以上に冷たいものだった。





そして彼の姫を思う。


忌み子ということで殺しても有栖川家は怒らないとでも思っているのか、那智の元には様々な嫌がらせと暗殺にあっていると聞く。



それを自分に訴えるでもなく、処理をしている那智には少なからず驚かされる。




いつかは自分の元に訴えにくるだろうと思っていたが、那智が後宮に入り10日。





那智が訴えに来ることはないだろうと王は確信していた。





有栖川家当主からは日に日に毒が強くなっていく。どうにかしろ。と文が来ていたが、那智が自分に何も話さない以上自分にはどうする事もできない。




王である自分が出ていけば済む問題でもないだろう。





王が庇えば庇う程、王に愛されていると思われ那智の立場は危うくなる。






それを那智も分かってるのだろう。・・・というか自分などに頼らずともどうにかできるという自信があるのだろう。