こいつの話す内容はいつもこんな感じ。いつも同じことをばかりで飽きてくる。

しかし今日は違った。

「あ、そういえば」と、今までの話に無理やりけりをつけて話始めた。


「ほらよ、あそこに座ってる、あの女いるだろ?」

またくだらない物かと最初は思ったが、なんだかいつもより小声になったことに違和感を覚え、
反射的にこいつが指を指している方向に目を向けてしまった。


その先に見えたのは、

はじめて見る気がするクラスメイトの女子。


一人、俯いて静に本を読んでいた。

「あいつ、誰も友達つくんねぇし、よく分からない本を読んでるし、どんなやつなのかなぁと思ってさ。女子の中では結構不審がられているらしいんだ。袖も曲げず、スカートだって膝下だぜ?こんな自由な学校なのによ」


こいつは軽く苦笑いをして話していた。


その女の手にある本は、カバーがしてあってどんな本なのかは分からなかったが、とりあえず、ものすごく厚い。

こいつが言ったように、普通の人が読むような本ではなさそうで、服装も他の女子と比べても明らかに地味だと思う。


すると、先程の小声とは裏腹に、クラス中に聞こえるような大声で、

「まっ!俺はあんな地味なやつ興味ねぇけどな」

と、腕を頭の後ろで組んで言った。


俺は気になってもう一度その女を見た。

すると、せわしなく本を閉じて、席から立ち、本をお腹に抱えて、さっさと教室から出ていった。


…聞かれてたんじゃないのか?

俺は少し悪い気がしたが、となりの男は既に他のことを話始めていたので、この件については終わらせることにした。