教室は3階にあるため、階段を上らなければならない。
二段飛ばしでかけ上がっていき、教室の方への曲がり角を曲がろうとした瞬間、
「うわっ!」
「きゃっ!」
ドンッと大きな音を立てて誰かとぶつかった。
俺も相手も尻餅をついて座り込んだ。
「…す、すまない」
ぶつかったその相手をみてみた、
そいつは、あの変わり者の女、河合だった。
本をたくさん抱えていて、きっと図書館からの帰りで、彼女も急いでいたのだろう。
「こ、こちらこそすみません…」
女は、こちらに目を合わせなかったが、そういって謝ってきた。
「もうチャイム鳴ったし、急ぐぞ」
俺は一言そう言って、改めて女をみた。
座り込んだ姿勢は、いつもの膝下まであるスカートは少しめくり上がり、股が見えていた。
「…ぇっ」
しかし、俺はしばらくして、唖然としてしまった。
言葉も全く出なくなった。
彼女の、いつもは見えない股には、
痛々しい痣や傷などが全体に広がっていた。
青っぽいもの、紫っぽいもの、赤黒くなっているもの。
ずっと昔にできた傷もあれば、昨日できたんじゃないかと思えるような傷もあった。
その痛々しい跡から、目をそらしたかった。
しかし、何故か離せなかった。
しばらくすると、彼女は俺が傷を見ていたことを知ってか知らずか、「すみません」と言いながら荒々しく立ち、教室の方へ走っていった。
俺は、彼女を振り返ることはしなかった。
その場に呆然と座り込み、
もう既に授業のことなど忘れていた。
