結論は出なかった。

でも私は旅に出る用意をはじめた。

お腹の中の子供を産むまでは帰らないつもりだから長い旅になる。


そんなとき、久しぶりにミヤビが訪ねてきた。

゛アヤが来てくんないから私が来たよ″

ミヤビがちょっと大きくなった陽太郎くんを連れてやってきた。

゛大きくなったね。陽太郎くんだよね。″

昔話に花が咲く。

でも悠史さんのことは触れない。

過去のことでも知られたくない。

それに波風立てる気もない。

私には新しい仕事があるんだから…

゛今度絵本を描くの。取材がてら旅に出ようと思うの。″

ミヤビが言った。

゛何かあった?アヤが旅に出るなんて似合わないよ。″

えっミヤビに見抜かれてる!?
 
゛そうだ。叔母さまの別荘が軽井沢にあるの。一緒に行こうよ。絵本描くんだったらファンタジーのあるとこから出発したら?旅の一歩にしてよ。″

あてもなく出掛けるつもりだったからその話に乗ることにした。