以前、かかった産婦人科の医師に診察してもらった。

゛おめでとう。今度は幸せな出産をしようね。″

医師は優しい笑顔で答えてくれた。

でも私は戸惑っていた。

彼はやっと夢の入口にたどり着いたところなのに…また私は重荷になるのかしら。

でも堕ろしたくない。

ノエルの時のような苦しみはもういい。

どこか姿を消して産もうか…

どこに行けばいいの?

彼の負担になりたくなかった。

どうしよう…

まだ早い。


そんな時だった。

新しい仕事の依頼が来た。

゛絵本を描いてみないか″

久しぶりに悠史さんがやってきた。

今は担当を離れ、文芸作品担当になっていた。

絵本は私の夢だ。

気持ちは大きく揺れた。