゛アヤコさん、顔が真っ赤だよ″

涼史くんはいつものように子供たちの中に溶け込んでいった。

私のスケッチブックはいつもの涼史くんがいっぱいになった。

゛今度の作品に使ってもいい?″

゛いいですよ。でもわかんないように使ってくださいよ。
僕、勉強してることになってるんで″

゛そうだったね。雰囲気だけいただきます。″

゛それはそうと、ペンネーム、なんて読むんですか?″

゛マナカ ヨウって読むの。愛の花でマナカ、妖はアヤコの妖。あやかしっていうでしょ。妖怪のこと。″

゛妖怪なんですか。″

笑ってしまった。

そうかもしれない。

私は愛を求めては擦り抜けていかれる、妖怪なのかもしれない。

雪女に近いかも…

いつも笑顔でいられる。

そんな今が幸せなのかもしれない。

青空の下、木陰にたたずみ明るい青年と子供たちの戯れを見ている私がいる。

絵に描いてみた。

いつもより大きい、キャンパスに描いてみた。

ちょっといいかも…

いつもの私じゃない絵が描けたと思う。

家に飾ろう。

私の宝物にした。