秋も終わりの頃私のマリアさまは完成した。

シスターテレサはそっと抱きしめてくれた。

゛よく頑張りましたね。″

うれしかった…

神父さまも誉めてくださった。

絵のコンクールに出すことになり、賞をもらった。

色鉛筆だけで描いた絵がそんなに誉められるなんて…私はいろんな人に誉められるたびに小さくなってうつむいていた。

そして祖父がその絵を見たとき、涙を流した。

゛圭織…何故…″

母の名前だ…

゛おじいちゃま…ママなの?私の描いたマリアさまはママなの?″

祖父は私を抱き締めた。

゛そうだよ。ママはあーやのマリアさまになってあーやのそばに戻ってきたんだね。″

私は母の顔を知らない。

家には写真もない。

祖母がかたずけてしまっていた。

祖父がもうボロボロになった証明写真を見せてくれた。

母の学生証の写真だった。

静かに微笑む顔は私のマリアさまだった…