学校では友達も出来ず、いつも一人で窓の外の景色を見ていた。

初めての工作の時間に私はワクワクした。

  絵を描ける!

そう…大好きな絵を描ける時間だ。

教えてくれるのは学校の中でも一番優しいシスターテレサ。

最初の時間は何でも好きな物を画用紙に描くことだった。

私は大好きな祖父を描くことにした。

楽しい時間だった。

゛真中さん、絵が好きなのね…とても楽しそうに描いてるわ…おじいさまね…大好きなのね。絵にあらわれてるわ。″

シスターテレサは優しい笑顔で話してくれた。

恥ずかしくてうれしくて顔が真っ赤になっていた。

その日、帰りにシスターテレサが私のところに来て、
゛今日もおじいさまがお迎えに来られるのかしら?″
私は大きくうなずいた。

゛私もお会いしたいわ。一緒に行ってもいいかしら?″

゛ハイッ″

うれしかった。

シスターテレサは祖父としばらく話していたが、

゛真中さん、素敵なおじいさまね…また明日、元気に登校してね。ごきげんよう。″

゛シスターテレサ、ごきげんよう。″

祖父といつものように手をつないで歩いていると

゛シスターがあーやのことを誉めてたよ。いい感性を持ってるから、絵の才能を伸ばしてあげたいって言われた。いい先生だね。″

゛シスターテレサ、大好き!おじいちゃまを描いたの。絵を誉めてくれたから。″

祖父は優しく微笑んでいた。

私は絵の勉強をすることになった。

祖母は反対したが、祖父が説得してくれた。

祖母が反対したのは父が美術教師だったからだ。

父の影を見る様でいやだったのかもしれない…

゛おじいさまが言うから許すけれど私は賛成したわけじゃない…出来ればおじいさまのような水彩画かパステル画なら…″

祖母は言った。

私はうなずいた。

絵を習えることがうれしかった。

後日わかったことだが父は油絵を専門にしていた。