゛お父さんとお母さんの結婚はお祖父ちゃんたちが決めたことで背くことなどとんでもないことだった。でも僕には恋人がいたし、結婚したいと思っていた。お母さんにも同じように結婚したいと思う人がいた。
だから形だけ結婚して別に暮らすことにしたんだ″

゛何故そんなことをしたの?″

゛その時はそれが一番いい事だと思ったんだ。でも間違いだった。彼女が圭織を身籠り、お母さんも彼の子供を身籠ったときにきっちりとけじめを着けるべきだったんだ…彼女は心を病み、お母さんは流産で二度と子供が出来ない体になってしまった。そして彼女は自分の居場所を見失って自殺した。お母さんの彼も事故で亡くなってしまった…″

゛そして私は今のあなたたちに育てられたのね。″

゛お母さんは…私はあなたを自分の子として育ててきたわ。圭織は私たちの子です。″

゛最初から本当に好きな人と結婚してればこんなねじれた事にならずに私は本当のお母さんに育てられたのに…″

゛私じゃだめなの?母親にはなれないの?″

゛いつも一歩離れたところで見ている気がしていた。どこかで実の子だったらって見てなかった?他のお母さんとは違う気がしていた。気のせいなんかじゃなかったんだ…″

゛そんな…″

母の悲しそうな顔が圭織には辛かった。

父は黙ってうつむいていた。

圭織は自分の部屋に走り込んだ。

母に当たることは無かったし今まで育ててくれたことに感謝すべきじゃなかったか…

圭織は自分を責めた。