「あああああああああっ!!!!!!!」
咆哮とともに彼の身体は弾け飛んだ。
周囲の壁を蹴ながら、無重力さながらに空中を行き交う。
人の類では、最早ない。
「ウソでしょ…純人間じゃあないのかな」
自嘲めく笑顔を浮かべてアルファはその光景に必死で目を合わせた。
「あー、もう、仕方ないやっ」
アルファはその場にかがみ、地面に両手を這わせた。
「来い」
命令の後に、彼を取り囲んで周囲の地面が盛り上がり、壁をつくった。
彼はそこに突撃するも壁は固く刃はアルファまで届かない。
――…防御特化なんだ、アルファの魔術は。
だから普段の仕事ではあまり向かない。
防御するより、一方的に追い詰める方が多いからである。


