「きーれい、きれい、きれい、きれい」 もはや『綺麗』が『切れい』とか『鬼霊』とか意味合いが違って聞こえてきた。 美を全否定するひねくれ者は何処にでもいるが、こいつはソレが肥大化したのだろう。 狂おしいまでに『綺麗』を憎む。 「そんなに綺麗が嫌いですか」 高い声を上げて笑っていた彼は、ギロリとアルファを睨んだ。 「デカダン思想も狂い始めましたね。 あなたはその最先端を行く退廃の塊かな」 「――…たいはい」 彼は荒げていた息を急に落ち着けた。