「――っつ、」 僅かに顔を歪ませて男は彼から離れた。 「もう一本もってたんだ。 無用心だったかな」 彼の手には血で染まったナイフ。 両手も抑えるべきだったか、服を脱がせた方が早かったか。 どちらにしろ逃がすなという命令は破ってしまった。