異変を感じたのは彼が肩を揺らし始めてから。 ……笑っている。 娼婦狙いの愉快犯。 もちろん正常な精神状態とは思っていないが、映る姿は明らかに『異常』だ。 「ふふ、ふふふ、ふふふふふっ」 肩の振動が増すにつれて声もどんどん漏れはじめる。 「ねえ、悪いけど…」 言い終わる前に、男は言葉をつぐんだ。 腕に熱い痛みが走る。 水風船を割ったときみたいに、裂けた衣服から赤い液体が飛び出してきた。 「――…アル!」 女が叫んだ。