きぃん、と耳を切るような音がして、そのあとカラカラと何かが転がる音がした。 彼の意識が一瞬飛んで、力が緩んだその腕から女が逃げ出した。 ナイフが空を切る。 自身の目で捕えたそれには、切っ先が無くなっていた。 「――――」 「動かないで」 彼の喉元に冷たいものがあてがわれた。 視界の端っこに、見覚えのある金髪が見えた。