「ちょっ、ひろ……」
「何でって俺ら付き合ってるから」
康太は理解してないのか、何も言わない。
だからもう一回言ってやった。
「鈴は俺の彼女だから」
満面の笑み付きで言ったら、康太が無理やり俺と鈴をひきはがす。
「……っ、何でいつも大翔ばっかり」
内容はわからなかったけど、康太がボソッと何か言った。
「大翔、また俺とサッカーで勝負しろ!勝った方が鈴ちゃんと付き合う。どうだ?」
「はぁ?」
何言ってんだ?
サッカーで勝負?
勝ったら鈴と付き合う?
なんで急にそんな話になるんだよ。
「てか俺と鈴はもう付き合って……」
「来月の第一金曜日の放課後に第一グラウンドで。あの時みたいに逃げるなんて許さない」
それだけ言うと康太は去っていった。
俺は不思議そうにしている鈴の頭を優しく撫でるだけだった。