「――ったぁ。急に止まんないでよ」
俺が止まったら見事に背中にぶつかってきた。
「お前、危なっかしすぎる」
シャツの裾を掴んでいる鈴の手をとって指を絡める。
いわゆる恋人つなぎ。
さすがに振り払うだろ、と思って鈴を見ると俯いている。
顔を少し上げて俺をチラッと見るけど、また俯く。
何だ?
この反応。
いつもとは絶対違う。
繋いでる手をギュッと強く握ってみると、鈴も少しだけ握り返してきた。
ヤベぇ、顔がニヤける。
甘々鈴ちゃんだ。
でも、これ以上歩いたら鈴が心配だからな。
襲われるかもしんねぇし。
仕方ない。
「ここまででいいから。鈴が危ねぇし」
そう言って手を離そうとする。
けど鈴が離してくれない。