「もう一度言う。鈴に触んな」


「ヒッ」


大翔の低すぎるその声に、あたしの肩に置いていた手を急に離した。



そのせいでバランスをくずして、倒れそうになる。




「大丈夫か?」


「うん……」


そんなあたしを支えてくれる大翔。

夢でも幻覚でもない。


あたしまだ、生きてるみたい。




この温かさは大翔のものだから。





「大翔、何で?」


大翔の服装は練習着。

やっぱり部活してたんだよね。



なのに何でここに?



「あー南野にな。まぁ詳しいことは後で話すから」


ニッコリ笑ってくれた大翔に安心して、力が抜ける。

足に力が入らない。



そんなあたしをそっと抱き締めて、支えてくれる。