杉本さんの質問を無視して、自分の席に行く大翔。
でも杉本さんの隣の席だから、逃げられないけど。
「連絡しようとしても、大翔ケータイ変えたみたいで繋がらなかったし。ねぇ、交換しよっ!」
「…………」
大翔はずっと黙っている。
あたしが不安にならないようにかな?
って思うと、少しだけ嬉しくなった。
無視はあんまりよくないのかもしれないけど。
あたしは二人の会話が聞こえる、ギリギリの距離をたもって聞き耳を立てる。
「ケータイ出してぇ」
「…………」
「ねぇ早くぅ~!!」
「…………」
「……じゃあ勝手にしちゃうから」
ボソッと言った杉本さんは、勝手に大翔の制服のポケットに手を突っ込んだ。
「はぁ!?お前何やってんだよ!!」