俺は鈴のすぐ近くのところまで行く。
夕日が海に沈みかけていて、その光で鈴の髪がキラキラしている。
「鈴」
「なぁに?」
俺の方を向いた時に、小さな体を抱き寄せる。
「好きだよ」
耳元に口を寄せて囁いた。俺の素直な気持ちを。
思った通り鈴は驚いて、俺を見上げた。
それから赤くなった顔を隠すように俺の胸に埋める。
「あたしも……好き」
ボソッと伝えてきた鈴に、やっぱコイツだけだなぁと思った。
俺には鈴だけしかありえねぇ。
鈴がまた顔を上げて目が合った。
ゆっくり顔を近づけると、そっと目を閉じた鈴に触れるだけのキスをした。
「……帰るか?」
「……うん」
こうして、俺らの幸せな初デートは幕を閉じた。