大翔は黙ってあたしの手を振り払う。


「……俺との約束破って康太とイチャイチャして楽しかったか?」


「違うッ!あたしは……」


「何が違うんだよ!!」

大翔が滅多に出さない大声であたしの言葉を遮る。


ビクッとして大翔を少し見た。

怒りや悲しみ、苦しみが混ざってるような複雑な表情をしている。



「……今は鈴の顔を見たくない」


それだけ言うと、またあたしに背を向けた。


その背中がだんだん歪んでくる。

あたし、嫌われちゃった……。


頬を温かいものが伝う。





大翔……“好き”。





嫌われてから気づくなんてもう、手遅れだよね。