「黒板消されちまたったし、もういいだろ」
『…でも』
その時、神宮寺くんが若林くんに声をかけた。
「絢斗、そのノート俺が持って行くよ。ちょうど麻美ちゃんに用があるし」
「翼、マジで?助かる。試合前で部活遅れたら先輩にどやされるんだよ」
「大変だな、頑張れよ」
「さんきゅ」
そんなやり取りの後、神宮寺くんはノートを持ち上げた。
『あ、…』
持って行かれるのではないかと思った私は、待ってもらえるよう神宮寺くんに声をかけようとした。
その時、神宮寺くんが積み上げられたノートの中から一冊をを差し出してきた。

