「古田さん、ちゃんと問題解けてる?」
不意にかけられた声に、思考が現実へと引き戻される。
今は授業中だ。
昼の空が青く、夕方が赤く、夜が暗いのはなぜか。
そんな授業を聞いているうちに、自分世界へと思考を連れて行ってしまっていたらしい。
声の方へと視線を向けると、麻美ちゃんが教卓の奥で首を傾けたまま私を見ていた。
『…今から解けます』
「そう、分からないところがあったらきいてね。ここテストに出しやすいから」
テストと聞き、焦りを覚えた私は何度か頷いて問題に取りかかった。
ちらっと麻美ちゃんを見ると、まだ私を見ていたらしく、微笑みを返された。

