政宗は入ってきた私を見て、とても驚いた顔をしていた。
横にいる小十郎さんも目が飛び出るんじゃないかってぐらいに大きく目を開いた。
「…お前……!!」
うん、なんだかちょっと怒ってるみたい。
鬼の形相で私を睨みつけている。
「どうですか政宗様。この女、南蛮人のようですが私たちと同じ言葉を話すのです」
睨みつける政宗に、私は顔の前で手を合わして謝った。
『お願い、私を買って!』
私は口をパクパクとしてそう伝える。
政宗はそんな私を見てチッとしたうちをする。
「…いくらだ?」
政宗は呆れたようにため息をつき、そう言った。
「ま、政宗様!なりません!一国の主が女を買うなど!」
そこで小十郎さんがすかさずストップをかける。
「じゃああいつをほっておけと?」
「そ、それは…」
私を見て見ないフリをするのはさすがの小十郎さんも心が痛むみたいだ。
お願いだからほっておくなんてしないでほしい。
「……私が買いましょう」
小十郎さんがそう言った。

