「お前…家に帰れないのか?」
小十郎の言葉に私は黙って頷いた。
確かに帰れないと思う
もはやこの現実を受け止めるしかない
「お前、名は?」
「砂倉愛弓(さくらあゆみ)」
伊達政宗の問いにただ正直に答えた。
「桜?」
「…砂倉、よ」
間違ってはいないけど、どうもイントネーションが違う
私はすかさずツッコミを入れた
「まぁよい。愛弓、ここに住ませてやってもいい」
…え?
あまりに突然のことに声がでない。
「いい…の?」
住まわせてもらえるなんて、それはすっごいありがたいことだ
これからどうしたらいいかなんてわからないし、
元の時代に帰れるのだっていつになるかもわからない。
結局は宿が必要だったところだ

