さし君家のお向かいが、友達の奈美ちゃん家。
だから奈美ちゃんを迎えに行くのを口実に、
さし君に少しでも早く逢いたくて行ってたの。


「おはよう」

「オスッ」


照れ臭くて、お互いたった一言しか会話できなかったけど、
それでも毎朝それだけでハッピーになれた。


学校迄のバスの中、いつも1番前で立ってたさし君。

席が空いててもあまり座らない。
なんでかなって不思議に思ってたら、そのうち気付いたよ。

いつも小さい子や女の子優先でいてくれてた。

だから学校迄の15分、立っててくれるんだよね。

そういう優しさが、
「スキ」の気持ちを加速させていった。