みんなから「さし君」と呼ばれる君は
私より一つ上の男の子。

本当は「尚史(ひさし)」だけど、
言いにくいからみんな「さし君」って呼んでた。


さし君は、小さい子からも好かれるお兄ちゃん的存在。

笑うと「ハの字」になる眉毛が可愛い、
いつもひょうきんな子。

当時は珍しく、
いつも坊主頭で、
格好イイってタイプではなかったけど…。
けど人気はあった方かも。


そんなさし君とは家も近所。
登校班は違ったけど、
集合場所は同じだから、
いつも朝から逢えた。



けど、いつからかな。
さし君の顔を少しでも早く見たくて、
集合場所をわざわざ通り過ぎて、
さし君の家へと続く、曲がり角まで行くようになったのは。