そんな家の様子を見て彼は少しキョロキョロして私達を観察しているようだった。
『あっ、そうだ。
うち洋服こんなのしかないですけど、きっと雨に濡れてたから汚いですよ…?
シャワーあびます?』
お父さんが昔着ていた知らない英語が書いてある白いTシャツにランニング用の半ズボンジャージを出す。
彼は無言で頷いてその服を取ってお風呂に向かおうとする。
彼の顔はキョトンとしていて、自分でも何が起こっているか理解できていない様子だった。
そりゃそうだよね。
私ですらあまり理解出来ていないのだから。
当たり前だ。
「おねぇ、ヤクザは?」
ヤクザヤクザと言っているコウは彼の事が全く怖くないようだ。
『お風呂』
「ヤクザは今日帰るの?」
『わからない』

