うろこ雲




『あのー!!』



よく見ると震えてる?
あれ?


「おねぇ、死んでる」


コウは悲しい目をして彼を突っつく。


『震えてる……』


私は彼の事を強く揺さぶる。

そうするとゆっくりゆっくり顔をあげて震える。


「わっ、動いた!」


まるで新しいロボットを見るみたいな顔でコウは驚いた。


上げた顔は周りが暗くてあまり見えないけど、今にも倒れそうな血の気のひいた顔だという事がわかった。


「おねぇ、連れて帰ろう!」


コウはそう言って私の体をつかむ。


『……うん』


ほっとけなかった。
今にも死にそうな人を目の前にしてほっとくわけにはいかない。


無理やり彼の腕をつかんで立たせる。

力がない彼はよろよろになる。