『もし休校になったらおねぇに電話する事。
わかった?』


携帯番号の紙を渡す。


「はぁい!」


勢いよく手を上げて長靴を履く。
黄色の傘は彼のお気に入りだ。


『じゃあ、行きますか』


暗くてジメジメした空の下を急ぎ足で歩く。
雨がポタポタ落ちて次第に大きくなっていく。


「おねぇ!」


ハルは強く私のスカートを握りしめて必死に歩く。


『捕まっていたら大丈夫♪』


今までにない大きな水は地面を跳ね靴下をビショビショにする。

コウは元気よくいつも通り学校へと行き、ハルは涙目になりながら幼稚園に預けられた。



私はというと、髪も制服もビショビショになりながら学校に着く。



今日は夏が終わったと実感するほど風が冷たい。
急いでハンカチで体を拭く。