『だーめ、おねぇ言ったでしょ。
戻してきて!』


「なーんーで!」


『駄目なものは駄目ー』


しぶしぶお菓子を戻すコウ。
時には厳しくしないとっ。
それが親。
辛いけど、コウのため。


レジを済ませて、二人は一つの袋をよれよれ持つ。
米は私が持つ。

重いのも我慢しなきゃ!

我慢、我慢だけど我慢。


駐車場を通る。


「おねぇ、あれヤクザ?」


大きな声でコウが知らない人に指をさす。

指の指す方向にはグレーのダボダボのジャージにフードかぶった金髪の男の人がゴミ箱の前に寄っかかり座っている。

耳にはキラキラのピアスが輝く。


『コウ、見ちゃ駄目!』


小声でコウに注意をして手を引っ張るが、コウは気になる目をしてじーっと見ている。