【短編集】君に届いてほしいから─春─





「また…わかめ来てくれた」



先に口を開いたのは、渡辺葉也だった。



「…別に、渡辺葉也のためじゃないし。」



私はなんとなくその表情を見ないでいる。



また、沈黙。



なんだコレ。
いつもみたいに騒いでよ。




「………や、」