【短編集】君に届いてほしいから─春─







「…あ、チャイム」






あー…また遅刻かなー…。


「まじかよ!結芽のせいだー!」


翔ちゃんは立ち上がって前のめりになりながら漕ぎはじめた。


「えー!?私!?」


風が耳元で鳴っている。


てゆーか…


「バカ!速い!」


「えーー?」



「はーやーいー!!!」