【短編集】君に届いてほしいから─春─





「卒業式の日に出発なんて…忙しいのね。」


お母さんはテーブルに肘をつきながらため息を漏らす。



「翔太くんが東京に行っちゃったら寂しくなるでしょうね…」


寂しそうで懐かしそうな顔は、翔ちゃんをほんとに自分の子供のように思ってたからなんだろうな。


私は小さく返事をしてリビングを出た。