【短編集】君に届いてほしいから─春─




「結芽……」


美優ちゃんは不安そうな顔で私を見つめる。



……そんな顔しないで。


「私、美優ちゃんの笑った顔が好きだよ。」


ぽそっと呟いた私の声に少し頬を赤らめながら、美優ちゃんの顔にいつもの笑顔が浮かんだ。