【短編集】君に届いてほしいから─春─




「…め、ゆめ、ゆーめっ!」


「わっ美優ちゃん?」


気付かなかった……


美優ちゃんは眉を寄せてしかめっつらで私を見ている。



「もー…また王子様のこと考えてたの?」


お、うじ…って…


「翔ちゃんのこと?」



「それ以外誰がいるのよー!」


美優ちゃんは口元を思いっきりニヤつかせながら私を叩く。