彼の視線の先と、呟きの意味が分かってはっとする。

慌ててスカートの裾を押さえて、その拍子に手元の本を落としかけて。

持ち直そうとした途端バランスを崩して、


「きゃっ!?」


落ちた。

彼の上に。


「……押し倒されるより、押し倒す方が好きなんだけどな」

「な、もう、最低っ!」

「うん。ごめんね?」


あっさり謝られて、なぜか何だか調子が狂う。

もっと図々しいヤツかと思ってた。

こんなところで覗きしてるくらいだし。


「つーかどうしてこんな場所で寝てるのよ」

「ん? きみのこと見てた」

「何それ。変態」