……なんて、言うにはプライドが邪魔をするから、会いに行くのも出来なくて。

行き場を失った気持ちを持て余すうちに。


──それは、偶然。


移動教室の途中見つけた彼が、可愛い子と楽しそうにしているから。

思わずその背をグーで殴った。


「いっ……て、澪ちゃん?」


振り返った彼と目が合ってはっとする。

呼ばれた名前にかあっと身体が熱くなって、くるりと方向転換すると、慌ててその場を逃げ出した。


何してるんだ私。


大した距離も走ってないのに脈が速い。

酸素を求めて浅い呼吸を繰り返した。